本記事では、中学校で習う重要文法である不定詞について、初心者の方にも分かりやすく説明していきます。
不定詞は準動詞の仲間
文法的な話をすると、不定詞は準動詞の仲間です。
準動詞とは、「動詞の性質+他の品詞の性質(形容詞や名詞や副詞)」も持ち合わせているもののこと。「準」なので、動詞のサブ的な立ち位置になります。
準動詞という名称自体を暗記する必要はありません。ですが、「動詞+他の性質も持つ」点は必ず押さえておきましょう。
ちなみに、動名詞と分詞も準動詞の仲間です。不定詞・動名詞・分詞で「準動詞3兄弟」と私は勝手にネーミングしています。動名詞や分詞の説明も追って記事にしていきます。
1文に動詞は1つだけ!
I want something to drink.何か飲みたい。
例えばこの文。直訳すると「私は何か飲むものがほしい」で、喉が渇いたときの意思表示として使います。
英語の文は、基本的に1文に1動詞しか存在しません。
このことは英文法を学ぶうえで、さらに話したり書いたりするときに絶対に知っておくべきこと。
仮に、I want something drink.とすると、wantとdrink、2つ動詞が存在するので間違った文に。
drinkを不定詞のto drinkにすれば動詞ではなく準動詞になります。wantとto drinkが共存できるのです。
不定詞の形と3用法
不定詞は、必ず〈to+動詞の原形〉の形で使います。
原形とは、三単現のsなどがつかない動詞の元々の形のことです。
不定詞には3つの用法があります。これは中学校の授業でもお馴染み。
形容詞の性質を持つ不定詞は形容詞的用法、副詞の性質を持つ場合は副詞的用法...と、それぞれ名前がついています。
この3用法の区別ができなくてつまずく方が多いので、次から詳しく見ていきましょう。
不定詞① 形容詞的用法
名詞を修飾する
そう、形容詞とは名詞を修飾するものです(詳細はこちらの記事)。修飾とは詳しく説明することでしたね。
不定詞の形容詞的用法は形容詞の特徴を持ちます。なのでもちろん名詞を修飾します。形容詞的用法は、〈to+動詞の原形〉の形で名詞を詳しく説明していきます。逆をいうと、それ以外の用法はありません!
I want something to drink.
動詞 + 名詞 +不定詞
何か飲むものがほしい。
to drinkが不定詞で、前にあるsomething(正確にいうと代名詞)を修飾しています。
仮にI want something.(何かほしい)だとどうでしょうか。「え、何がほしいの?」と聞きたくなりますよね。
そこにto drinkをつけることで
「飲む何かがほしい」→「何か飲みたい」
と一気に詳細まで伝えられるのです。
形容詞的用法の特徴
2に関して。これは「to 不定詞が前にある名詞を修飾する」ということです。
3は、以下のようなケース。
I want something hot to drink.
名詞+形容詞+to不定詞
何か温かい飲み物がほしい。
名詞と不定詞の間に形容詞hotが入っています。
このhotは、不定詞とは無関係で、前のsomethingを詳しく説明しています。この文ではhotとto drinkがそれぞれsomethingを修飾しているのです。
形容詞を入れると詳細な文になる
I want something.(何かほしい)
↓
I want something to drink.(飲み物がほしい)
↓
I want something hot to drink.(温かい飲み物がほしい)
不定詞② 副詞的用法
副詞の定義をおさらいしましょう(詳細はこちらの記事)。
副詞とは...
- 動詞・形容詞・副詞を修飾する
- 文全体を修飾することもある
不定詞の副詞的用法は、名前から想像できる通り、副詞の特徴を持ちます。したがって、動詞・形容詞・副詞・文を修飾します。
I came here ( to look for a job. )
仕事を探すためにここに来た。
この文での動詞はcameで、不定詞はto lookです。「look for a job=仕事を探す」という意味。なので、この場合はto look for a jobで1つのクラスターとして捉えます。
副詞的用法は「目的」を表す
副詞的用法は、よく「目的」を表します。この場合、「来た」目的が「仕事を探すため」。副詞的用法の不定詞が「来た」という動詞を修飾しています。
副詞的用法は「おまけ」
ここで大事なことを1つ! 文中に副詞が現れたら( )で括るのがオススメです。
どういうことか。副詞は、S(主語)やO(目的語)やC(補語)にはなりません。副詞はS, O, Cなどの要素にならずに、ひたすら何かを修飾して、意味を付加する役目に徹しているのです。
あくまでも付加的な「おまけ」なので、( )で括ったほうが、文の基本構造(SVOなど)を把握しやすいのです。
副詞を( )で括ると長文を読むときに便利です。一気に文章が読みやすくなります。受験勉強の長文読解はもちろん、英語の小説や英字新聞を読むときに意味をとりやすくなるはず。
不定詞③ 名詞的用法
最後は名詞的用法です。そもそも名詞とは何なのか(詳細はこちらの記事)。そこから復習しましょう。
名詞とは...
- 人・ものの名前や概念を表す語
- 文中で主語・目的語・補語になる
名詞の特徴を持つ不定詞の名詞的用法は、文中でS(主語)、O(目的語)、C(補語)になります。それぞれ文を見ていきましょう。
文中で主語になるケース
To speak English is difficult.不定詞
英語を話すことは難しい。
これはTo speak EnglishがSVCの第2文型のS(主語)になっているケース。
不定詞部分はto speakのみですが、Englishはspeakの目的語なのでTo speak Englishで1つのクラスターと見なします。
文中で目的語になるケース
I want to speak English.
英語を話すことをしたい。
=英語を話したい。
こちらはto speak EnglishがSVOの第3文型のO(目的語)になっています。
文中で補語になるケース
My dream is to live abroad.
私の夢は外国に住むことだ。
これはto liveの不定詞がSVCのC (補語)になっていますね。
少し話がずれますが、「live abroadはlive in abroadじゃないの!?」と思った方はこちらの記事をぜひ読んでみてください。
では、本題に戻りまして、ここで3つの文の訳に注目してください。すべて「〜すること」と名詞っぽい訳になっているのに気づくはず(「事、こと」は名詞ですね)。
名詞的用法のto不定詞はカットできない
名詞的用法の不定詞はS, V, Oなどの要素になります。なので、to 不定詞の部分をカットしてしまうと、英文自体が成り立ちません。
My dream is to live abroad.
私の夢は...?
不定詞部分をカットすると、文が完成しません!
それに対して、形容詞的用法や副詞的用法は不定詞の部分をカットしても英文自体は成り立ちます。これは形容詞、副詞的用法は、ただ何かを詳しく説明しているだけだから。詳しく説明している部分をカットすれば、意味的に物足りなくなるだけです。
形容詞的用法
I want something to drink.
S V O
副詞的用法
I came here ( to look for a job. )
S V
カットしたら意味は物足りないですが、文としては成り立っています。なお、2つ目の文のhearは副詞ですので、これも要素になりません。
以上、不定詞の3用法を解説しました。
まとめ
不定詞とは
- 〈to+動詞の原形〉の形で使う
- 「動詞の性質+他の性質」を持つ
- 「他の性質」とは、形容詞・副詞・名詞の3つ
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ライティング:つばめパブリッシング
イラスト:田島ミノリ