クリスマスシーズンの挨拶といえば、まず思いつくのはMerry Christmas!ですよね。
実際に日本でもクリスマスイブやクリスマスに「メリークリスマス」と挨拶するのは珍しいことではありません。
アメリカをはじめとして、キリスト教徒が多数を占める国では、12月のクリスマスシーズンになると、職場の同僚や、友達との間でMerry Christmas!の挨拶がかわされてきました。
しかし近年は、挨拶に変化が出てきているようです。その裏側には宗教や文化、さらには政治の問題が絡んでいます。本記事でわかりやすく説明していきましょう。
Merry Christmas!の代わりにHappy Holidays!
近年では、Merry Christmas!ではなくHappy Holidays!と言う人が増えてきたことをご存知ですか。
なぜ、Merry Chistmas!ではなくHappy Holidaysなのか...?
キリスト教のお祭りを祝す挨拶であるMerry Christmas!は他の宗教への配慮に欠けていると解釈する人が増えてきたからです。
実際、12月のホリデーシーズンには、キリスト教以外のお祭りが多くあります。例えば、ユダヤ教では、12月のクリスマスシーズンと同時期に、9本のロウソクを灯すハヌカーを行います。
アフリカ系アメリカ人が、黒人としてのアイデンティティを再確認し、祝す行事としてクワンザもあります。
「Merry Chiristmas!の代替としてのHappy Holidays!」は、ポリティカルコレクトネスの1つだと言っていいでしょう。
トランプ元大統領による「クリスマス論争」
実は、この言い換えは、アメリカの政治においても大きなトピックとして取り上げられてきました。
Merry Christmas!を自粛する流れに待ったをかけたのが、あのトランプ元大統領です。彼はデパートからMerry Christmas!の文字が消えたことを嘆き、選挙演説でWe're going to say Merry Christmas again!と繰り返しました。
緑と赤のクリスマスカラーでデザインされたMerry Christmas!のポスターが飾られた選挙演説会場は「古き良きアメリカ」を想起させます。そしてこの主張により、保守層の支持を集めたといいます。
Merry Christmas!を巡る論争は、実はトランプ大統領が始めたものではありません。アメリカでは2000年代初頭から毎年ホリデーシーズンに「恒例の論争行事」となっているようです。
Merry Christmas!が絶対タブーなわけではない
Merry Christmas!がメディアや小売り業界からタブー視されてきたといっても、まだまだMerry Christmas!を使う人はたくさんいます。イギリスではMerry Christmas!のほうが主流とか。
実際、2021年に、リベラル派のアメリカ人の先生が執筆した本を校正したときのこと、クリスマスの挨拶として先生はMerry Christmas!のみしか載せていませんでした(その先生は、トランプが嫌いで、オバマの時代がよかったとよく嘆いていました)。
Merry Christmas!は挨拶として定番となっているので、論争を気にせず、リベラルな方でも使う人もいるのだと思います。
日本のクリスマスは宗教色が薄れているし、そもそも日本人の大半は無宗教でクリスマスを祝っているため、Merry Christmas!と言うことに抵抗がない人がほとんどでしょう。
ただ、人種や宗教の面で、日本がこれから多様化するのが必須といえますし、そのなかで日本でもホリデーシーズンの挨拶が代わるかもしれません。
日本では師走に買い物に出かけると、あちらこちらでMerry Christmas!の文字を目にしますが、数年後には、ポリティカルコレクトネスの名のもと、Happy Holidays!に代わっている...なんてこともあるかも…?
そういった視点で、ホリデーシーズンの装飾を見るのも面白いでしょう。
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