本記事では、英語の気象ニュースに度々登場するハリケーンに関する表現を紹介します!
storm surge, make landfall, maximum sustained speedなどの意味をご存知ですか。こういった語句を知っていると、英語圏のニュースを見聞きしたときの理解度が上がるはずです!
ハリケーンの定義
一般的にアメリカにハリケーンが到来するのは6月から11月頃で、最盛期は8月中旬から10月下旬です。
ハリケーンの進路は、アメリカ南部から東海岸にかけての沿岸部、特にフロリダ半島やミシシッピ・デルタ地帯は大きな被害を受けやすいです。
アメリカでは、風速別にハリケーンを5つのカテゴリーにわけています。カテゴリー3〜5は、major hurricane(重大ハリケーン)と呼ばれ、特に警戒が必要です。
CategoryとSustained Wind Speeds(風速)
- 74-95 mph / 119-153 km/h
- 96-110 mph / 154-177 km/h
- 111-129 mph / 178-208 km/h
- 130-156 mph / 209-251 km/h
- 157 mph or higher / 252 km/h or higher
カテゴリー4や5になると、住宅が損壊し、電柱や木々が倒れることで住宅地が孤立する可能性もあり、長期間の停電も想定されます。被災地では通常の生活に戻るために数ヶ月を要することもあります。
ハリケーン、台風、サイクロンの違いとは?
最大風速に違いはあれど、どれも各地域に存在する熱帯低気圧です。厳密に言うと細かい区分や基準に差がありますが、ここでは大まかな区分を紹介します。
typhoon 台風
- 地域:東経180度より西の北西太平洋および南シナ海
- 最大風速:約17m/s以上
hurricane ハリケーン
Cyclone サイクロン
→サイクロンは広く低気圧一般を指す場合もある
ハリケーンに人名がつく理由は?
アメリカではKatrinaやIdaliaように、ハリケーンに人名がつけられます。
元々は番号で呼んでいたようですが「わかりにくい」ので、米国立ハリケーンセンター(National Hurricane Center)は1950年代からハリケーンに人名をつけ始めました。
当初は女性名を命名していましたが、70年代に男性名も加わり、その後は男女の名前を交互に与えています。
なぜ元々女性の名前が与えられたのか。疑問に思う日本人の方もいるかもしれません。
一説によると、英語圏では自然現象を表す代名詞が女性詞なので、女性名がふさわしいと考えられて女性名をつけ始めたそうです。
ハリケーンにまつわる英語表現
ここからはハリケーンに関する表現を紹介していきます!
Storm surge could rise as high as 16 feet (4.9 meters) in some places. Some counties implemented curfews to keep residents off roads.
高潮は所により16フィートに達する可能性がある。道路に近づかないように住民に夜間外出禁止令を施行した国もある。
英文引用元:Idalia downgraded to tropical storm over Georgia after making Florida landfall
storm surge(高潮)はハリケーンにつきもので、低地の住民は警戒しなければいけません。
implementは、動詞だと「実行する」「遂行する」、名詞だと「道具」です。
curfewは災害時などに出される「夜間外出禁止令」。「外出禁止令を課す」はimpose a curfewで、「解除する」はlift a curfewとなります。
curfewはカジュアルな文脈で、親が子どもに課す「門限」の意味としても使われます。
suspendには「一時停止にする」「ただよう」「つるす」などの意味があります。
Idalia made landfall Wednesday morning as a powerful Category 3 hurricane over Keaton Beach.
イダリアは強力なカテゴリー3のハリケーンとして水曜日の朝にKeaton Beachに上陸した。
ハリケーンに関する言い回しで必ず覚えておきたいのがmake landfall(上陸する)です。
landfallには、「(ハリケーンや台風の)上陸」のほか、「(宇宙船などの)着陸」、さらに「地滑り」の意味(landslideと同義)もあります。
Idalia declined in strength as it moved across northern Florida into Georgia and was downgraded to a tropical storm late Wednesday afternoon.
イダリアはフロリダ北部を通過中に勢力を失い、水曜の夕方には熱帯低気圧になった。
downgrade to 〜で「〜に格下げされる」。反対はupgrade to 〜です。ちなみにアメリカ人の校閲者に聞いたところ、ネイティブの感覚だと、late afternoonは大体3時から4時を指すそうです。
ハリケーンは、その時々の風速によってカテゴリーが変わります。カテゴリーは刻々と変わるので予定進路に住む住民は気象情報で細かく確認します。
An ice storm slammed Texas this week, crippling roads, closing schools and canceling flights.
今週、着氷性の暴風雨がテキサスを直撃したため、道路は遮断され、休校となり、欠航が相次いだ。
英文引用元:Abbott issues disaster declaration as ice storm slams Texas - ABC News
slamの意味は元々「激しくぶつかる、叩きつける」です。台風や防雨風を目的語にとって「直撃する」となります。
crippleの意味は「(〜を)活動不能にする」「(機能を)損わせる」です。
ハリケーンのニュースを聞いていると、頻繁にbrace forという動詞句が耳に入ってきます。
braceは元々名詞で「支え」「突っ張り」といった意味。嵐に備えて窓の補強をしたり、自転車をガレージに入れたり......そういった準備をすることをbrace forで表現します。
ハリケーンにまつわる他の英語表現
high winds
強風
strong windsと同じ意味です。
mandatory evacuation order
避難命令(強制的)
voluntary evacuation order
自主避難勧告(強制力なし)
voluntary(自主的な)がついているので強制力のない勧告となります。
Hurricane Warning
ハリケーン警報
maximum sustained speed
最大風速
sustainedは「持続している」。maximum sustained speedは、一定期間で測定した最大の風速を表します。日本で言うところの「最大風速」ですね。
inland
内陸(の)
storm track
暴風雨の経路、進路
low-lying
低地の
low-lying area(低地の地域)、low-lying country(低地の国)など、場所を表す名詞があとに続きます。
destructive hurricane
壊滅的なハリケーン
power outage
停電
aftermath
災害や戦争後の状態、余波
aftermathを英語で簡潔に表現するならwhat's left after the storm (damage, etc.) ですね。
記事構成時、参考資料
https://www.miami.us.emb-japan.go.jp/files/000175712.pdf
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ベレ出版さんのnote記事で連載を担当しました。アメリカ、中国、日本の言語、文化比較をしています。
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Brooke Lathram-Abe (ブルック)
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編集・校正・翻訳及び英会話・ヨガの指導を行なっている。
編集業に関しては、主に英語教育での仕事に熱意を持って取り組んでいる。
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