性別を問わない Mx.とは?
Mx.は、Mr.やMs.などと同じように「〜さん」を意味する敬称で、近年使われるようになった新しい語です。
Mr.やMs.と違い、男女の性別を問わないのが一番の特徴。
世界的にに浸透しているとは言えませんが、主にイギリスの公的文書や民間の手続きで使われています。
ちなみに、発音はmix(ミクス)でOK。
クィアの人たちが選択したMx.
Mx.が生まれた背景を見ていきましょう。Mx.はクィアの人たちによって使われ始めた言葉です。
クィア=queerという英語はご存知でしょうか。queerは「風変わりな、奇妙な」を意味する形容詞。これは元々性的マイノリティの人に対する蔑称として使われていました。それを逆手にとって、マイノリティの人たちが自身をqueerと名乗り始め、現在では性的マイノリティの総称として受け入れられています。
クィアの人たちにとっては、Mr. / Ms.など男女どちらかの性別に自らを分類するのは難しいことが多い。そこで、男女の区別を問わない敬称であるMx.が生まれたのです。
アメリカではMx.を使うの?
先に主にイギリスで…と書きましたが、アメリカではどうなのでしょうか。
校閲のブルックさんに聞くと、アメリカでも少しずつMx.が浸透してきているそう。下記は、生徒が先生にMx.の敬称をつけて呼んでいる事例を紹介している記事です。
ここで疑問が。
カジュアルな英語を話すアメリカでは、そもそもMr.やMs.を使う頻度がイギリスより少ない。なので、フォーマルなイギリスで先にMx.の必要性が出てきて、広まったのではないでしょうか。
現在ではアメリカの出版社が発行するウェブスター辞書にもMx.は掲載されています。これからアメリカや他の国々でも使用頻度が上がるはずです。
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ライティング:つばめパブリッシング
イラスト:田島ミノリ
英文校閲&解説協力:Brooke Lathram-Abe