本記事で紹介するのは独立不定詞です。文法用語を使うと何だか難しく聞こえますが身構える必要はありません。
独立不定詞とは、文から独立している不定詞表現でイディオム化しているもののことです。
独立不定詞のあとはコンマ〈 , 〉で区切られています。なので文から独立していると言えるのです。
さらにいうと、独立不定詞は文全体を修飾しています。独立不定詞の部分が英文に「+アルファ」の意味を付加しているのです。
逆にいうと、文から独立しているので、独立不定詞の部分をそのまま隠しても(取っても)、英文は成り立ちますね(付加した意味がなくなるだけ)。
前置きが長くなりました。イディオムなので、難しい説明は抜きにして、例文にあたっていきましょう。
to be frank with you (率直にいえば)
To be frank with you, you're to blame.
率直にいうとあなたが悪い。
To be frank with youは、frankly speakingやfranklyに言い換えられます。franklyが一番カジュアルな表現です。
to tell the truth(実をいうと)
To tell the truth, her writing is extremely poor.
実をいうと、彼女の文章はかなりひどい。
To tell the truthの部分が、文の後半を修飾しています。
to make a long story short(要するに)
To make a long story short, he loves her.
要するに、彼は彼女を愛している。
「かいつまんでいうと」という訳語になることも。イギリスではto cut a long story shortと言うこともあります。
to begin with, (第一に)
To begin with, I'm going to talk about...
第一に、〜について話します。
first of allと同義で、会議やプレゼンなどを始めるときに重宝する表現。
基本はこの意味でOKですが「最初には」という意味もあります。
これは「最初はAだったけど、そのあとB...」とAが違うものに変化したことを含意します。
He was a musician, to begin with, but later he became a writer.
彼は最初音楽家だったが、のちに作家になった。
to make matters worse(さらに困ったことには)
To make matters worse, it began to rain.
さらに悪いことに雨が降り始めた。
このイディオムは、〈主語+make+目的語+補語〉で「(目的語)が(補語)になる」という文が元になっています。make matters worseで「事態をより悪くする」ですね。
You only make matters worse.
動詞+目的語+補語
事態を悪くするだけだ。
こういった文のmake matters worseにtoがついて独立不定詞化したと考えてください。
なお、to make the matter worseでもOKですが、mattersのほうがよく聞きます。
to be sure(確かに)
She is smart, to be sure, but she has no heart.
彼女は確かに頭がいいが心がない。
これは堅めの表現。「確かに」「なるほど〜だが」といった意味を表し、普通to be sureのあとにはbutが続きます。
needless to say(言うまでもなく)
Needless to say, the bus was late.
言うまでもなくバスは遅れた。
具体的な特定の事実に対して「言うまでもなく」と前置きするときに使う表現です。
同義表現にto say nothing of 〜があります。
She can speak French and Chinese, to say nothing of English.
彼女は英語は言うまでもなくフランス語と中国語も話せる。
to say the least(控えめにいって)
My mother was rather angry, to say the least.
母は控えめにいってもかなり怒っていた。
least(littleの最上級「最も少ない」)を使った独立不定詞です。
strange to say (妙な話だが)
Strange to say, I didn't feel anything.
妙な話だが、私は何も感じなかった。
strangeは「奇妙な」。未知で不可解なことに対して、恐れや好奇心を抱くようなときに言う「奇妙な」です。
so to speak いわゆる
He is, so to speak, a bookworm.
彼は言わば本の虫だ。
「いわば」「あたかも」「いわゆる」などと訳します。
wormは細長くて足のないミミズやウジ虫などの虫のこと。それにbookがついて「本の虫」となります。
以上、よく使う独立不定詞表現を集めました。
関連記事
ライティング:つばめパブリッシング