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英語学習書の編集者とネイティブ校閲者による英語やアメリカ文化の解説ブログ

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【ネイティブ監修記事】used to 〜とwouldの違い

 

used to 〜     現在と過去の対比(今は〜でない)

まず、used to 〜はコアの意味を「今は〜でない」と捉えておきましょう。

 

used to 〜の意味

・〜するのが習慣だった 

・よく〜していた

・以前は〜だった

 

used to 〜には「以前はそうだったけど今はそうじゃない」ニュアンスが含まれています。過去の長い期間にわたる行動や状態を伝えるときに使います。

 

ケンブリッジ辞書の定義が明確なので転載します。

We use used to when we refer to things in the past which are no longer true. It can refer to repeated actions or to a state or situation:

used to 〜は「もう、そうではない過去」のことに言及するときに使う。繰り返ししていたことや、恒常的だった状態に対して言及するときに使う。

 

例文を1つ挙げましょう。

My father used to play tennis every weekend, but he's too old now.

父はかつて毎週テニスをしていたが、今では年をとりすぎた。

「昔はテニスをしていたけど、今では年をとってテニスができないこと」を伝えています。

 

would=追憶(過去をしのぶ)「〜したものだったなぁ」

used to 〜と似ている意味を表すwouldの解説に移りましょう。

 

wouldは「かつて〜したものだったなぁ」と過去を懐かしむときによく使う表現です。「過去に繰り返し行なっていたこと」に対して使います。

wouldは、物語のなかで話者が語っているときに使われるのも特徴です。

 

日常会話では、年老いた夫婦が若い頃を懐かしんで話すときなどをイメージするとわかりやすいかと! 校閲者に聞くと、まさに「このイメージ!」と同意してくれました。

過去の習慣を表すwouldを使った例文を紹介しましょう。

 

When I was young, I would often go camping in Chiba.

若い時、よく千葉にキャンプに行ったものだった。

昔一緒にキャンプに行った友達と再会して、昔を懐かしんでいる場面を想像してください。

 

過去の習慣を表すwouldは、often, sometimes, always, for hoursなどの副詞(句)を伴うことが多いのもポイントです!

 

wouldは仮定法など、他にも色々な用法がありますよね。数ある用法のなかで「これは、過去の習慣のwould」と明白にするためにoften, sometimesなどの副詞を添えるのです。

used to 〜の例文

過去の習慣を表すused to〜

used to 〜は「昔は〜したけど、今はそうでない」ことを伝える表現でしたね。知識を定着させるために例文をどんどん紹介します。

I used to go to church on Sundays.

以前は、毎週日曜日に教会に通っていた。

過去に長期間続いていた行動で、今はそうではないことを表すときにused to は最適ですね。

 

I used to work out a lot.

昔はかなりトレーニングしていた。

残念ながら今はトレーニングできていないことがわかります。

 

過去の状況や状態を表すused to〜

There used to be a cafe around here.

以前この辺りにはカフェがあった。

このように、「昔は〜してた」という人の行動以外にも、「XXに〜があった」と状況や状態を表すときにもused to 〜が使えます

 

〈There used to be +施設・建物+場所〉を頭に入れておけば応用できます。

 

I used to live in Canada.

以前カナダに住んでいた。

この場合、以前はカナダに住んでいたけど、今は別の場所に住んでいるのですね。

 

ちなみに、I used to live in Canada for two years.は不自然なので注意しましょう。対照的に、wouldはfor two yearsなどと一緒に使うことがあります。

 

For two years, we would go fishing every day.

2年間、私たちは毎日釣りに行ったものだった。

 

「過去の習慣」を表すwouldの例文

wouldの例文も、どんどん紹介していきましょう。

We would talk for hours in my place.

私たちは私の家で何時間も話したものだったねぇ。

wouldは、for hours(何時間)のように期間を表す語句をよく伴います。

 

I had a friend from Karuizawa, which is about 147 km away from Tokyo, and we would meet every summer and go fishing in a lake.

私には軽井沢、東京から147 km離れたところに友達がいて、毎夏会って湖に魚釣りにいったものだったなぁ。

このように「〜かつてしたものだったなぁ」と語るときにwouldが好んで使われます。小説の中でもよく見かけます。

 

We used to live in the same house and would often chat for hours.

私たちは以前1つ屋根の下に住み、何時間も語り合ったものだ。

こちらは1文のなかでused toとwouldを使った例です。先にused toを使って過去のことと明示しておきます。wouldがoftenとfor hoursという副詞(句)を伴っていることにも注目してください。

 

「今は一緒の家に住んでいないけど、昔は何時間も語り合ったね〜」と懐かしんでいますね。

 

過去の状態を表すときは、used to〜 を使うことが多い

よく参考書やネットなどで、「「状態」の場合はwouldは表せない」と紹介されています。大方合っていて、過去の状態を表すときはused to 〜を使う傾向があります。

 

used to〜とwouldの用法をまとめると、こちらになります。wouldの三角になっているところを詳しく解説していきましょう。

I used to belong to the English conversation club.

私は以前英会話クラブに所属していた。

belong to 〜(〜に所属している)は、所属している状態を表すので、wouldではなくused to〜を使います。

 

× I would belong to the English conversation club.

 

I used to live in the heart of Tokyo.

以前は都心に住んでいた。

live(住んでいる)は状態を表す動詞なのでused to 〜を使います。ほかに、hate, likeなども状態動詞なので、wouldではなくused to 〜を使います。

 

× I would live in the heart of Tokyo.

 

例外的にwould=過去の状態を表すとき

In the 1970s, the rich would generally live on the north side of town, and the poor would generally live on the south side of town.

1970年代には富裕層は概して街の北側に住み、貧困層は南側に住んだものだった。

この文の場合は、wouldが使えます。この文は漠然とした過去を表すのではなく、「1970年代はね...」と特定の時代のことを振り返っています。そういった場合は実はwouldでもOKなのです。

 

だから、一概に「過去の状態を示すとき=wouldはNG」とは言い切れません。

 

もちろん上の例文をused to 〜で表現してもOKです。used to 〜に置き換えた例文はこちら。

 

In the 1970s, the rich generally used to live on the north side of town, and the poor generally used to live on the south side of town.

もう1つ例文を挙げましょう。この場合は、後半のwouldが「嫌いだった」という過去の感情の状態を表していますが、wouldでもOK。なぜかというと、この文は漠然とI used to hate vegetables.と言っているのではなく、When I was a littleと具体的な時を限定しているからです。

When I was a little, my mother would/used to make me eat more vegetables, and I would/used to hate it.

幼い頃、母は私にもっと野菜を食べさせようとして、私はそれが嫌だった。

以上です。used to〜とwouldは似ているようで用法が異なります。本記事の例文と解説を参考に理解を深めていただけると嬉しいです。

 

運営者 連載記事

運営者 連載記事ベレ出版さんのnote記事で連載を担当しました。アメリカ、中国、日本の言語、文化比較をしています。note.com


運営者:余田志保

 

ネイティブ校閲者について

Brooke Lathram-Abe (ブルック)
文学修士

編集・校正・翻訳及び英会話・ヨガの指導を行なっている。
編集業に関しては、主に英語教育での仕事に熱意を持って取り組んでいる。
株式会社三修社株式会社KADOKAWA、IBCパブリッシング株式会社などの大手出版社の依頼を受け、これまでに多くの書籍の制作に携わってきた。