English Square

英語学習書の編集者とネイティブ校閲者による英語やアメリカ文化の解説ブログ

MENU

【ネイティブ監修】be used to 〜とused to 〜の違い

っ今回の記事では、紛らわしい「be used to〜と used to 〜」の違いを説明します。

 

 

be used to 〜=「〜に慣れている」

 

be  used to 〜のusedは「慣れて」という意味の形容詞です。

 

文中ではbe used to 〜の形でよく使います。

 

toのあとは、名詞相当語句が来ます。平たく言うと、名詞のほか、動詞の-ing形を置けるということです。 

 

Are you used to life in Japan yet?

日本での生活にもう慣れていますか。

 

Are you used to living in Japan yet?

日本での生活にもう慣れていますか。

 

最初の例文はtoのあとに名詞であるlifeを続けています。後者はtoのあとにliveの-ing形であるlivingを置いていますね。

 

toのあとに動詞の原形を置くと間違いになってしまうので注意しましょう!

 

be used to 〜「〜に慣れている」のbe動詞をgetに変えた、get used to 〜「〜に慣れる」もよく使います。

 

be used to 〜が「慣れている状態」を表すのに対して、get used to 〜は「慣れたという変化」を表します。

 

例文を見て、両者の違いをつかんでいきましょう。

 

I just arrived in America yesterday, so I'm not used to the change in time zones yet. 

昨日アメリカに到着したばかりで、まだ時差に慣れていない。

こちらは、「アメリカに着いたけど、時差でぼ〜っとしている状態」を表しています。

 

When I flew to America, it took time to get used to the change in time zones.

アメリカに飛んだとき、時差に慣れるのに時間がかかった。

こちらは、時差に「慣れない状態」から「慣れている状態」に「変化(get)」するのに時間がかかったと伝えています。



もう1つ、be used to 〜とget used to 〜の比較ができる文を挙げておきます。

 

The new students aren't used to college life yet.

新しい生徒たちはまだ大学生活に慣れていない。

 

The new students are still struggling to get used to college life.

新しい生徒たちは大学生活に慣れるのにまだ苦労している。

 

なお、be used to 〜と同義の表現にbe accustomed to 〜があります。両者の違いは別記事で解説しているので、是非ご覧ください!

 

english-gogaku.hatenablog.com

used to 〜=「〜したものだった」

文法的に言うと、used to 〜は助動詞の仲間に入ります。

 

助動詞って言うと、wouldとかcanとか1語の印象がありますが、2語で助動詞になるものもあるんです。他の例を挙げると、ought to 〜(〜するべきだ)、had better 〜(〜するべきだ)などですね。

 

used to 〜

よく~したものだ

昔は~していた

以前は~したものだった

 

意味は上の通りで、「過去の習慣」や「長期的な反復行動」を表します。「現在はそうではない」と、過去との対比が強調される点がポイントです。

 

より理解を深めるために英英辞書の定義と例文も引用します。

 

まずはMerriam-Websterの定義、1つ目。

used to say a situation existed in the past but does not exist now

今はないが、過去に存在していた状況を説明する

 

感覚を掴むために例文も紹介しましょう。

 

My father said winters used to be harder here.

父は、ここの冬はもっと厳しかったと言った。

「今は昔ほど寒さが厳しくなくなった」意味を含みます。



I used to live in the north side of Tokyo.

以前は東京の北側に住んでいた。

今は他のところに引っ越して「東京の北側に住んでいない」ことを伝えます。

 

There used to be a bookstore near the station.

駅の近くに以前は本屋があった。

 

〈used to be+建物〉で、お店や施設などが以前はあったけどなくなったことを伝えます。

 

2つ目の定義はこちら。

 

used to say something happened repeatedly in the past but does not happen now

何かが昔は反復して起こっていたが、今では起こらなくなったことに言及するときに使う

 

We used to go out more often.

私たちはもっと頻繁に出かけていた。

 

社会人になって数年経ったとき、「大学の友達とは、昔もっと一緒に出歩いていたのになぁ」なんて思いを馳せることがあるかもしれません。そんなときに使える一言。「今は昔ほど出かけていない」ニュアンスを含みます。

 

They used to eat a lot of junk food but now they only eat healthy foods.

彼らはジャンクフードをたくさん食べていたが、今は健康的な食品しか食べない。

 

夫/妻のどちらかが病気を患い、食生活を変えた夫婦を想像してみると、例文のイメージがわくかと思います。ジャンキーな生活から一変して健康志向になった状況を表します。

 

used to 〜の疑問文、否定文の作り方

used to 〜(〜したものだった)を使って、疑問文、否定文を作ってみましょう。

 

used to 〜の疑問文

「彼女は(以前は)タバコを吸っていましたか」を英文にするなら、次のどれが正解でしょうか。

 

  1. Did she use to smoke?
  2. Used she to smoke?
  3. Did she used to smoke?

 

正解は......

 

どれも「実際に使われうる」けど、多くのネイティブが使うのは1です。

 

3は厳密には誤用で、1が正しいとされています。ただ、口頭で発音するときusedの最後の/t/の音がほとんど消えるので、1と3の区別がつきません。書いたときに違いが出てきますね。

 

2を使う人がいるのも事実ですが、かなり稀のようです。

 

学習者は、1のDid she use to smoke?を使うのがいいでしょう。

 

最初にused to 〜は「助動詞扱い」と説明しましたが、疑問文にするときは一般動詞の疑問文の作り方に習います。注意しましょう!

 

used to 〜の否定文

否定文の作り方も見ていきましょう。「彼女は(以前は)タバコを吸っていなかった」を英文にしてみます。

  1. She didn't use to smoke.
  2. She used not to smoke.
  3. She didn't used to smoke.

この中だと、学習者は1のShe didn't use to smoke.を使うのがオススメです。

 

2を使う人もいるようですが、かなり少数だそう。3は、やはり御用と見なされるようです(発話したときの発音は、useとusedでほとんど一緒だけど!)。

 

関連記事

english-gogaku.hatenablog.com

english-gogaku.hatenablog.com

 

 

参考文献:オーレックス英和辞典