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英語学習書の編集者とネイティブ校閲者による英語やアメリカ文化の解説ブログ

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完全版 助動詞wouldの用法

本記事では助動詞wouldの用法を例文と一緒に紹介していきます。

 

 

wouldにはたくさんの用法があり、大きく4つのグループにわけられます。

  1. 「過去」のグループ
  2. 「丁寧」のグループ
  3. 「仮定法」のグループ
  4. 「その他、慣用表現」のグループ

たくさんの用法があってややこしいけど、グループにわけると理解しやすそうだね。

 

まず、wouldのイメージ=「距離を置く」と頭に入れておきましょう。例えば「過去」のグループなら、現在から距離を置いている過去のイメージです。

「丁寧」のグループなら、「相手との距離をとる→敬う、丁寧」なイメージで捉えます。「仮定法」のグループなら「現実と距離を置く→現実には起こり得ない仮定」につながります。

 

この「距離を置くイメージ」はwouldを理解する上で重要なので、必ず押さえておきましょう。

 

「過去」のグループ

過去の習慣(よく〜したものだった)

wouldには「よく〜したものだ」と、過去の習慣を振り返る文脈で使う用法があります。

このwouldは昔を懐かしむような文脈で使うよ。

似ている表現としてused to 〜が挙げられます。used to 〜wouldには違いがあって、used to 〜は「(今は違うけど)昔は〜だった、昔は〜したものだった」と「現在はそうではない」ことを含意していますが、wouldには現在と過去を比較するニュアンスはありません。used to 〜wouldの違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

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さて、過去の習慣を表すwouldの例文を挙げていきましょう。

When I was young, I would often go swimming in Chiba.

若い頃、よく千葉に泳ぎに行ったものだ。

 

過去の強い意志(どうしても〜しようとした)

willには「意志」を表す用法があります。wouldwillの過去形なので、wouldは「過去の強い意志」を表すわけです。この用法は、よく否定形、つまりwould not(wouldn't)「どうしても〜しようとしなかった」の形で使います。

The baggage just wouldn't fit in the trunk.

荷物がトランクにどうしても収まらなかった。

この用法では、主語によく物が来る点も押さえておきましょう。

 

The  door at the back wouldn't open.

奥のドアはどうしても開かなかった。

 

My son wouldn't see a doctor.

息子はどうしても診察を受けたがらなかった。

このように主語に人を置いてもOKです。

時制の一致

時制の一致とは、「従属節の動詞の時制」を「主節の動詞の時制」に合わせることです。

He said he would be seven next May.(間接話法)

彼は次の5月に7歳になると言った。

=He said "I will be seven next May."(直接話法)

主節はHe saidで、従属節はhe would be seven next Mayです。主節の動詞が過去時制ですので、従属節の助動詞はwillではなくwouldにします。

 

この文は、He said "I will be seven next May."に言い換えられます。こちらは直接話法といって、クオテーションマーク(””)で囲まれた部分は、実際に彼が言ったセリフです。なので、時制の一致は起こりません。

間接話法だと時制を一致させるんだね。

なお、この用法のwouldの意味はwillの各種の意味に対応します。

She said she would do her best.

彼女は最善を尽くすつもりだと言った。

この場合は、意志を表すwillの過去形としてwouldが使われています。

「丁寧」のグループ

次は「丁寧」のグループです。最初に書いたように、willを過去形のwouldにすることで、「距離感」が生まれます。「距離がある」ことで、相手への敬意が生まれて丁寧な表現へとつながります。物理的にも相手にピタッとくっつくよりは少し距離をとったほうが相手を敬うイメージが湧きますよね。

 

日本語の感覚でも「距離をとったほうが丁寧」といった印象はあると思います。それと同じ感覚が英語でも当てはまるのです。

距離感をとったほうが相手への敬意が生まれるんだね。

丁寧な依頼(〜していただけませんか)

Would you please open the window?

窓を開けていただけませんか?

Will you open the window?だと、「窓を開けてくれない?」とかなり直接的な表現になるので、丁寧とは言えません。代わりに過去形のWould you 〜?を使うことで相手にお願いするときの適切な表現になります。

Will you 〜?は直接的な表現だから、お願いするならWould you 〜?のほうが適切だよ。

Could you 〜? / Would you 〜? / Can you 〜? / Will you 〜?は、どれも依頼をするときの表現ですがニュアンスや丁寧度が異なります。下記の記事で、丁寧度でランク付をしてニュアンスをまとめているので、気になる方はご覧ください!

丁寧で控えめな提案や意思表示

A: Would you like to drink?

B: I would like a coffee.

A: 何かお飲みになりますか。

B: コーヒーを頂きたいです。

Would you like to 〜は慣用的に使われる表現で「〜するのはどうですか」「〜したいですか」と相手に丁寧に提案したり勧誘したりするときに使います。〈I would like +名詞〉で「〜を頂きたいです」と、want to 〜より丁寧な表現になります。

 

would like to 〜 (〜したいものです)と、肯定文で使う形も押さえておきましょう。

I'd like to know more about this machine.

この機械についてもっと詳しく知りたいです。

 

控えめな意志(おそらく〜でしょう)

wouldには「おそらく〜でしょう、おそらく〜だろう」といった控えめな意志を表す用法もあります。この用法のときにwouldとセットでよく使う動詞にはsay, think, imagineなどがあります。

I'd say it'll take about one hour.

1時間くらいかかるでしょう。

ちなみに、このsayはthinkと同じ意味で使われているよ。

 

「仮定法」のグループ

仮定法過去(〜するのだが、〜だろうに)

仮定法はwouldの代表的な用法です。まずは例文を見てみましょう。

I would help you if I could.

できることなら、あなたを助けるのですが(現実は助けられない)

仮定法は、「現実とは異なる仮定」や「現実では実現できないこと」を仮定します。この例文で言うと、話し手は「現実では相手を助けられないけれど、助けてあげられたらなぁ」と仮定して話しているわけです。

 

この例文は、I'm sorry but, I cannot help you.(申し訳ないけど、あなたを助けられません)で言い換えられます。なお、wouldを使うのは主節であり、if節ではないので注意してくださいね。

 

I would ask for help if I were you.

もし私があなただったら、助けを求めるよ。

現実では「私があなたになること」はあり得ません。現実不可能なことを仮定して話しているのです。

現実では「助けていない」のがポイントだね!

仮定法過去完了(〜しただろうに、〜だっただろうに)

仮定法過去は「現在の事実と異なる仮定」を表現するのに対して、仮定法過去完了は、「過去の事実と異なる仮定」を表します。

 

If I had known he were in hospital, I would have visited him.

もし彼が入院していると知っていたら、お見舞いに行っていた。

「彼の入院」は過去の出来事で、話者が話している時点で、彼はすでに退院しています。「知ってたらお見舞いに行っていたのになぁ」と、過去の事実と異なる仮定をしています。実際は、もちろんお見舞いに行っていません。

こっちは、実際には「お見舞いに行かなかった」のがポイント!

「その他、慣用表現」のグループ

Would you mind -ing? (〜していただけますか)

Would you mind providing your phone number?

差し支えなければ、電話番号を教えていただけますか。

先に紹介した「丁寧な依頼」のカテゴリーに入れることもできますが、大切な慣用表現なので独立して取り上げます。動詞のmindは「〜を気にする」という意味。つまり「〜することを気になさいますか」とお伺いを立てている表現となります。

少し回りくどい表現だけど、確かに丁寧な響きがあるね。Would you mind -ing?については、こちらの記事で詳しく書いているよ。

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would rahter 〜(むしろ〜したい)

would rather 〜で「むしろ〜したい」という意味になります。ratherのあとに何を置くかは色々なパターンがあるので、例文に触れて頭に入れておきましょう。

I'd rather stay at home.

むしろ家で過ごしたい。

 

 

I'd rather you came next Monday.

むしろ次の月曜日に来ていただきたい。

最初の文は、〈would rather+動詞〉、次の文は〈would rather+主語+動詞〉の形です。後者の動詞は仮定法で過去形になります(ここではcame)。

 

I'd rather go home early than stay out too late.

遅くまで出かけるよりも、早くに家に帰るほうがいい。

こちらは〈I'd rather ... than 〜〉で、ratherthanが呼応しているパターンです。

 

反語的な困惑・意外感を表す

Why would anyone want to live in this town?

一体誰がこんな街に住みたいと思う?

この用法は、疑問文の形で、反語的な表現を作るよ。この例文の場合なら「誰もこんな街には住みたくない」と伝えているんだ。

 

wouldの用法、かなり多いけど、グループごとに少しずつ頭に入れていけば、何とかマスターできそう!