must 話し手の内面からわき上がる「〜しなければならない」
mustがI must ...で自分のことを述べる場合、自身の判断における「強制」を表すことが多いです。家族や他人に急かされて何かをしなくてはいけないのではなく、自らの意思で「〜しなきゃ」と決心しているときに使います。
I must study hard. I really want to get into a good university.
一生懸命勉強しなくては。本当にいい大学に入りたいのです。
もちろん、You must stop.(止まれ)のように規則や義務を表す文脈では、この限りではないので、そこの違いには注意しましょう。
have to 周りの状況•環境から「〜しなければならない」
mustが主観的な「強制」なのに対して、have toは客観的な強制を表す傾向があります。
I have to study for the test. My parents worry about me.
私はテストの勉強をしなきゃ。両親が心配している。
この場合は私が自らの意思でメラメラとやる気になって「勉強しなきゃ」と言っているわけではありません。「テストがあるから」「両親が心配するから」といった環境的要因があって勉強しなくてはいけないのです。
I’m sorry I can’t attend your party. I have to work this weekend.
ごめんなさい、パーティに参加できません。今週末は働かなくては。
「週末に仕事をしなきゃ」 という状況は、おそらくは自らの意思でというよりもシフトの関係とか上司に言われてとか、外的な状況が原因だと考えられます。このようなときにもhave toを使うと適切です。
なお、mustとhave toの根本的な違いについては、アルクさんが運営しているイングリッシュジャーナルオンラインで詳しく執筆させていただきました。こちらも是非参考にしてください!
mustは堅め、have toはカジュアル
もう1つ両者の大きな違いを紹介しましょう。mustは堅い感じ、一方でhave toはカジュアルなシーンで多く使います。『表現のための実践ロイヤル英文法』(旺文社)に、興味深い統計結果が載っているので引用させてください。
会話ではmustとhave toの使用頻度は、約1:7で、have toが圧倒的に多いという英国の統計がある。
さらに同書では、I have to go.は頻繁に使うが、I must go.はかなり改まった場でないと使わない。日常会話ではmustほど堅い語を使うシチュエーションは少ないと説明しています。
疑問文は、mustよりhave toのほうが使われる
例えば、「私は〜するべきですか」と問うときに、Must I ...?とDo I have to ...?という2通りの聞き方があります。
ただ、これも頻度に違いがあり、特にアメリカではDo I have to ...?を好んで使う傾向があります。
Do I have to leave now?
おいとましたほうがいいですか。
Must I leave now?としても文法的に間違いではないですが、堅いイメージになります。
mustには未来形と過去形がない
表の通り、mustには未来形と過去形がありません! ないものはしょうがないので、代わりにhave toを使います。
未来を表すwillとmustを並べて使うことはできません。なので、will have to ...とするのが適切です。
過去形はhave toをhad toの形に。
I had to write the docment from scratch.
私は最初から文書を書かなくてはならなかった。
mustは是非おすすめしたいときにも
先にmustは話し手の主観で内面から感情がわき上がるイメージと説明しました。その熱いイメージが、「強制」ではなく「強い推奨」の意味に転化して使われることがあるので押さえておきましょう。
You must watch that movie! It's so interesting.
あの映画を絶対見たほうがいいよ! すごく面白いんだ。
このように「絶対おすすめ!」と強く推奨するmustは、親しい友人や家族など近しい相手に対して使うことが多いです。これを「〜しなければならない」とすると誤訳なので注意しましょう。
ちなみに、must-seeで「必見」という意味になります。強く推奨するmustが複合語になったものですね。
マトメ
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ライティング:つばめパブリッシング
イラスト:田島ミノリ
英文校閲&解説協力:Brooke Lathram-Abe