- stuckは「つきっきりで忙しい」
- be tied upは「手がふさがった状態」
- swampedは「圧倒されるほど忙しい」
- hecticは「てんてこ舞いの」「時間に追われている」
- まだまだある! イディオム表現5つを紹介
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- ネイティブ校閲者について
stuckは「つきっきりで忙しい」
stuckはstickの過去分詞形です(活用はstick-stuck-stuck)。stickの中心的な意味は「突き刺して動かないようにする」です。
なのでbe stuck at workだと「仕事につきっきりで、他のことに時間を割けないくらいの忙しさ」を指します。
I’ve been stuck at work since this morning.
今朝から仕事で(ずっと)身動きがとれない。
これだとhave been ...で現在完了形なので、「過去から今まで忙しい状態がずっと続いていること」を表します。
be tied upは「手がふさがった状態」
I'm tied up just now.
今忙しい。
tieの中心的な意味は「縛って留める」です。それが転じて「手がふさがっている」状態を表します。普通は受け身(be tied up)の形で使います。
丁寧なのは、busyよりbe tied up
be tied upはビジネス英語として使える表現です。
例えば、取引先から電話があって「今対応できないから折り返し電話する」と伝えるとき、あなたならどう伝えますか。
I'm sorry, but I'm busy now. I'll call you back later.
申し訳ないのですが、今忙しいんです。後で折り返しします。
これでも意味は伝わりますが、I'm busyと言うと「私は忙しいの!」と直接的な響きになります(文頭にI'm sorryをつけているので多少語調が和らいでいるが)。
じゃあどう言えば、もう少し柔らかく忙しい状況を伝えられるでしょうか。次の表現をマネてみてください。
I'm sorry, but I'm tied up now. I'll call you back later.
申し訳ないのですが、今手がふさがっています。後で折り返します。
日本語でも、取引先に直接「忙しいんで」とは言わず、「手がいっぱいで」「立て込んでいて」などと婉曲表現を使いますよね。それと一緒で、be tied upのほうがスマートな言い回しになります。
swampedは「圧倒されるほど忙しい」
swampは、名詞で「低湿地」「沼地」という意味で、そこから転じて「窮地」を表すこともあります。沼地にはまって抜け出せないようなピンチを想像すればわかりやすいかもしれません。
動詞になるとbe swamped with 〜で「〜でごったがえす」「〜に圧倒される」といった意味になります。手に負えないほどの仕事量で押しつぶされるようなイメージです。
I've been swamped with work this year.
今年は仕事に忙殺されていた。
hecticは「てんてこ舞いの」「時間に追われている」
It’s been a hectic day.慌ただしい日だった。
仕事が忙しい日にバタバタと働き通し、残業後に家に帰って、家族に少し愚痴る...といったシーンで使えるフレーズです。It'sは、It hasの省略です。
My schedule is hectic today.
I have a hectic schedule today.
今日はスケジュールが立て込んでいて。
「スケジュールが忙しい」と言いたいときは、このような言い回しもあります。
hecticの注意点としては、I'm hectic.とは言いません。文法的には間違いではないですが「私は慌ただしい人だ」と不自然な意味になります。
「I'm busy.と同じ感覚で使える?」と英文校閲のブルックさんに聞いたところ、I would never say “I’m hectic” in any context. It sounds weird.(どんな文脈でも絶対言わない! 不自然だよ)とのこと。気をつけましょう!
まだまだある! イディオム表現5つを紹介
ここからは、「忙しい」を表すイディオム表現を一気に5つ紹介します。どれもカジュアルな言い回しです。
I’ve got a lot on my plate.
手一杯で。
直訳すると「お皿にたくさんのものが乗っていて」で、要は多くのことを抱えすぎて忙しいというニュアンスです。
I’ve got my hands full.
手一杯で。
これも似たような言い回しです。
I’m snowed under with work.
仕事で忙殺されているんだ。
〈be snowerd under 〜〉で「仕事など多忙である」という意味。普通underの後にwith workなどを続けて「なにで忙しいのか」を明確にします。
I’m up to my ears[eyes / neck]in work.
仕事で身動きが取れないんだ。
あることで耳、目、首...つまり体の上部まで埋まって身動きが取れないほどの忙しさを表します。「忙しい」のほかに、日本語で言う「借金で首が回らない」の意味にも。
I’m up to my ears[eyes / neck]in debt.
借金で首が回らないよ。
I bit off more than I can chew.
無理をしすぎているんだ。
直訳すると「噛めないほどの量をかじりとる」。比喩的な表現で、「自分の能力以上のことをしようとする、無理をする」といった意味です。
busyとは少し意味がずれますが、I took on too much work. の意味に近いイディオムですね。
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編集者 連載記事
ベレ出版さんのnote記事で連載を担当しました。アメリカ、中国、日本の言語、文化比較をしています。
ライティング、編集:余田志保
英文校閲&解説協力:Brooke Lathram-Abe
イラスト:田島ミノリ
ネイティブ校閲者について
Brooke Lathram-Abe (ブルック)
文学修士
編集・校正・翻訳及び英会話・ヨガの指導を行なっている。
編集業に関しては、主に英語教育での仕事に熱意を持って取り組んでいる。
株式会社三修社、株式会社KADOKAWA、IBCパブリッシン グ株式会社などの大手出版社の依頼を受け、これまでに多くの書籍の制作に携わってきた。
文学修士
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株式会社三修社、株式会社KADOKAWA、IBCパブリッシン