「〜してもらえますか?」と依頼•お願いするときの表現は、英語だと
- Could you〜?
- Would you〜?
- Can you〜?
- Will you〜?
など、複数あります。
しかし、それぞれ丁寧度合いが違います。なかには命令口調に聞こえうるものも! 注意が必要ですね。
結論をいえば、丁寧な順から並べると次のようになります。
Could you〜? > Would you〜? > Can you〜? > Will you〜?
しかし「この順を覚えといてね。以上!」だけだと、丸暗記しているのと同じ。頭に定着せずに、結局使い分けができないはず。本記事では、記憶が定着するように、きちんと根拠も説明します。
- お願いするときの丁寧度
- 使えるシーン別 お願いするときの表現
- どちらが丁寧? → 可能かどうかを聞く vs. 意思を聞く
- どちらが丁寧? → 現在形 vs. 過去形
- Will you〜? は使ったらマズイのか
- マトメ
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お願いするときの丁寧度
例文
Could you〜?
Could you review this document?
この書類を確認していただけませんか?
ビジネスシーンで上司に書類の確認を依頼するシーンです。Could you〜?には「ご迷惑でなければ」といったニュアンスが含まれます。
Would you~?
窓を開けていただけませんか?
Would you〜?だけでも丁寧ですが、pleaseを挿入することで、より丁寧な響きになっています。
pleaseは丁寧度を上げる単語として、Wouldの他にも、Could you please〜? Can you please〜? Will you please〜?の形で使えます。ただし、言い方や文脈によっては「どうかお願いします」と切に願うような響きになることも。
Can you〜?
レポートを手伝ってもらえませんか?
ここまで来るとだいぶカジュアルな印象に。格式張ったビジネスシーンでは控えたほうがいいでしょう。一方で、親しい同僚同士の会話では頻繁に出てきます。
Will you〜?
窓を開けてくれる?
これを強い口調で言うと命令に聞こえてしまうので要注意。使うとすれば家族間同士ですが、命令めいたフレーズであることは変わりありません。
そういったニュアンスを持つので、使うシーンは限られます。強いていえば、相手の負担度が低いときに使います。例えば、あなたのお兄さんが窓のすぐそばにいるとします。その場合、お兄さんにとって窓を開けるのは簡単なことでしょう。そういったシーンを想像してください。
使えるシーン別 お願いするときの表現
ビジネスや日常会話のシーン別、TPOによってどのフレーズを使うべきか表にまとめました。目安として参考にしてください。
どちらが丁寧? → 可能かどうかを聞く vs. 意思を聞く
では、丁寧度合いの順序を決める根拠に迫りましょう。4つのフレーズは、「可能かどうかを聞く」もしくは「意思を聞く」グループに分類できます。
「可能かどうかを聞く」グループ
これに該当するのがこちら。
- Could you〜?
- Can you〜?
そもそもcanとcanのcould(canの過去形)は「可能」「可能性」を表す助動詞ですね。そのことからも、この2つが「可能かどうかを聞く」グループに入ることは理解しやすいはず。
可能かどうかを聞くのだから、ニュアンスとしては次のようになります。
- 〜できるでしょうか?
- 〜することは可能でしょうか?
「意思を聞く」グループ
こちらに該当するのがこちら。
- Would you〜?
- Will you〜?
willとwould(willの過去形)は、「意思」を表す助動詞です。なので、こちらのグループに入ります。
Will you〜?やWould you〜?で聞くときのニュアンスは以下のようになります。
- 〜する意思はありますか?
では「可能かどうかを聞く」のと「意思を聞く」のと、どっちが丁寧でしょうか。
丁寧なのは「可能かどうかを聞く」です。
「〜しますか? 〜する意思は?」と直接的に意思を聞くよりも、「あなたにとって〜するのは可能ですか?」と聞くほうが丁寧な印象ですよね。
どちらが丁寧? → 現在形 vs. 過去形
丁寧度の決定にかかわる要素は、もう1つあります。そして、それは「可能」vs「意思」よりも丁寧度を決定するうえで重要な要素となります。
その要素とは…「現在形なのか過去形なのか」です。結論をいえば、現在形よりも過去形にしたほうが丁寧になります。
4つのなかでは、Could you〜?とWould you〜?が、それぞれ助動詞の過去形を使ったフレーズです。
なぜ過去形にするだけで丁寧になるのか。こう考えると覚えやすいです。現在から過去を見ると「時間としての隔たり、距離感」があります。
丁寧な印象を与える言い回しには、馴れ馴れしさは感じられず、むしろ一定の距離感があります。過去形が持つ隔たった感覚、距離感が、そのまま丁寧な表現として生きてくるのです。
以上、Could you〜? > Would you〜? > Can you〜? > Will you〜? の順で丁寧となる根拠でした!
Will you〜? は使ったらマズイのか
ここまで理解すると、果たしてWill you〜?を使って失礼にならないか疑問に思う方がいるはず。
校閲のブルックさんに聞いたところ、
う〜ん、家族とか、親しい友人にならあり得るけど、親が子どもに対してもWill you〜?はあまり使わない。失礼な響き、命令的なニュアンスが含まれるから。普通はCan you〜?など他のフレーズにするかなぁ。
といった回答でした。
私がカナダに1年滞在していたとき、ホストファミリーでも勤務先でも、Will you〜?で何かを依頼されたことはありませんでした。たとえ上司でもCould you〜?で仕事の指示をしてくれていました。
ブルックさんと私が一致した意見はこちら!
英語だとただでさえ意思疎通が難しいのだから、あえて丁寧度合いの低い言葉を選択しなくてもいいかと。丁寧度が高いCould you〜?で依頼したほうが、コミュニケーションが円滑に進むはずです。
マトメ
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ライティング:つばめパブリッシング
イラスト:田島ミノリ
英文校閲&解説協力:Brooke Lathram-Abe